今回は、ニューヨークで活躍するトライバルベリーダンサーのイリーナ・アクレンコさん(Irina Akulenko)にインタビューさせて頂きました。
ベリーダンス、インドの旅について10個の質問「10 Questions」にお答え頂きました~
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Irinaさんは、いつベリーダンスを始めて何かきっかけだったんですか? |
Irina Akulenkoさん:私がベリーダンスを始めたのは2001年です。親の話によると私は歩く前からダンスをしていたみたいで、私の今までの人生ずっ
と踊り続けて、ずっと踊る事を愛してきました!今は動きで感情を表現できる事を私は信じています。
ダンスを始めたきっかけは親です。私は運が良い事に私が情熱をもってやる事に対して物凄いサポートしてくれる親で、幼少期
を過ごしたウクライナでは、ピアノ、コーラス、絵、ダンスではバレエや他のダンスを勉強してきました。
そしてアメリカに引っ越すことになったのですが、アメリカに行ってから英語の勉強でしばらくダンスを踊っていなかったので
すが、2001年、ベリーダンスを見て恋に落ちました。
実際は母親がきっかけだったのですが、、、私の母は美しく好奇心旺盛な
人で母が先にベリーダンスを始めていました。VHSのビデオを買い、二人で練習をしたり、当時はこんなにベリーダンスにハ
マるとは思いもしませんでしたが、音楽や美しい動きが私を虜にしました。
またベリーダンスはソロで踊れるダンスなので、踊
る相手を探したりする必要がなかったのも大きいですね。
私はとにかく当時ダンスをしたくて、しょうがなかったんです。ただバレエに戻るには年齢にもブランクもありすぎて、ベリー
ダンスは私を呼んでくれているような気がして、結果私をダンスの道へ戻してくれました。
最初はオリエンタルスタイルを始めて、それでトライバルに出会いました。それから、自信のダンスを磨く為、他のダンスも勉
強する事になり、またバレエの勉強もしたりしました。 |
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今のダンススタイルになるまでに、どのような道を通ってきましたか。 |
Irina Akulenkoさん: 私のスタイルは、今までの人生、愛して学んできた事です。私は常に生徒だという事を大切にしていて、レッスンを受ける事を
やめて学ぶ気持ちをなくしたら、アーティストではなくなると信じています。常に学び成長して変化する事を大事にしているの
で、私のスタイルは常に進化しています。
ただ今のスタイルに至るまでは、様々な壁や迷いがありました。
最初はオリエンタルスタイルをニューヨークで何人かの先生に学んでいまして、その後トライバルに出会い、長年にわたり、こ
の二つの全く異なるダンスを比べながら学んできました。私にとってオリエンタルダンスは、フェミニンで外向性のあるダンス
、トライバルは、筋肉、力強い、攻撃的、そして内向的なダンスだと思います。
一方のスタイルで緩やかな動きに素早いステップ、そしてもう一方ではインナーマッスルをどうコントロールしながら踊る。こ
の二つのダンスが何か物足りないという思う気持ちを満たしてくれました。
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私は何年もの間、トライバルフュージョンカンパニー、”アルケミーダンスシアター”副校長と振付師を務め(私は長くこのカ
ンパニーの主宰を務めたセーラJロックの生徒でした)、そして素晴らしいダンサー、ケーシー・チャイたちによって作られた
国際的に有名なフュージョンカンパニー ”ベリークイーン”に入りました。今は私もベリークイーンの中心メンバーの一人と
なり、私の振り付けはカンパニーの作品として使われています。このような世界レベルのカンパニーや、ダリア・カレラ、ジリ
ーナのような素晴らしいアーティストとともに活動することで私は多くを学び、ダンサーとしての今の私自身を作り上げました
。
数年前から私はフラメンコを取り入れはじめ、最近ではオリッシーダンスにも熱中し始めました。8つあるインド古典舞踊の
一つであるこの素晴らしいダンスを3〜4年ほど勉強しています。このダンスが今もっとも私に影響を与えています。私のダン
ススタイルとは、私自身の経験の歴史であり、それは私の研究が進むたびに変わり続けます。私は自分の取り組む新しい研究が
必ず自分をこれまでの自分よりもさらに成長させるように意識しています。 |
そしてもう一つお伝えしたいことがあります。私は"トライバルフュージョンダンサー"として見られることが時々あります。
でも私はトライバルフュージョンベリーダンサーとか、ましてベリーダンサー、というよりは、むしろフュージョンダンサーと
呼ばれたいです。
多くのダンススタイルを学んできましたが、踊る時に目指すのはストーリーを表現したり、感情や思想を伝えたりすることです
。もし自分をベリーダンサー、またはそれらのスタイルのダンサーとして考えると、人々が確実に求めるオリエンタル、トライ
バル、ベリーダンサーとしてするべき表現、してはいけない表現などに縛られてしまい、できることが限られてしまうからです
。私は自分が知っているすべてのことを生かして自由にダンスを表現したいし、自分が特定のスタイルのダンサーとして見られ
ていないほうが自由でいられます。だから、もしあえていうならば、私をフュージョンダンサーとして見ていただきたいです。
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イリーナさんのダンスは美しくて本当に素敵だと思っているのですが、何か美しく踊るポイントだったり、特別なトレーニング
はありますか? |
Irina Akulenkoさん:有難うございます。良いダンサーの条件は、どのスタイルでも、練習し続ける事と強さがキーポイントだと思います。肉体的に
は強いダンサーは、優雅でしなやかに動けます。弱さや披露などで動きが制限されない事、音楽を表現を自由にできる事、ダン
スを楽しみ自身を解放してマジカルな瞬間までもっていける事。
私にとって、ダンスの技術は置いといたとして、ダンサーは身体をしっかり鍛え、柔らかさを保ち、常に健康である事が重要だ
と思っています。私の場合は週に何回かヨガをやったり、クロスフィットなどの簡単なエクササイズだったり、筋力をつける為
には、自分の体の重さで出来る筋トレを行ってりしています。
私がショーを行う時は、美しく踊ろうと思う事よりも、ダンスに意味を持たせて踊ります。
毎回見て頂いているお客様に伝えきれてないかもしれませんが、私のマインドには、一つ一つのパフォーマンスにキーワードだ
ったりムードがあり、自分の中のミッションだったり、お客様にストーリーを伝えているようにダンスをしています。
美しいダンスを作る事も間違っていないと思いますけど、私が好きなのはストーリーがあるダンスです。
ですのでパフォーマンスをするときは素直で本当の感情を出すことが重要だと思っています。
喪失感、愛、悲しみ、楽しさ、恋しさなど、お客様とコミュニケーションがとれるパフォーマンスするには大事だと思います。
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振付けをするにあたって最も大事なファクターは何ですか? |
Irina Akulenkoさん: 私が振付けを行うとき、まずはその音楽が本当に大好きにならないといけません。
どんな曲にも振付を作る事はできますが、も
し全て任せてもらえるプロジェクトであれば、まずは振付をしたいと思わせてくれて、自分が表現したいものと一致する曲探し
が、最初のステップになります。
曲が見つかりましたら、まずは何度も何度もその曲を聴きます。全ての音を認識できるまで曲を聴きます。
また全てセクション
の正確なカウントが分かるように振付する曲のマップを作ります。
これを作り終わるときには、どういう振付けにするか大抵決まってます。
実際の振付けをする前には音楽を何回も何回もリピードで聞き、殆どの場合は頭の中でで振付けを考えます。次のステップとし
てはこの頭で考えたアイディアを身体的に表現できるから試してみます。そして音と融合させて振付を試し、全体を現実化して
「大丈夫か」を確認します。この最後のステップ「大丈夫か」が私にとって一番難しいです。毎回どの振付ももっと良くできる
気がしています。ですので振付の期日が決まっていることは私にとって良いのかもしれません。
でもやはり私の振付けで一番重要なのはやはり音楽ですね。私が踊るときは音の奴隷となって、私自身が音楽(楽器)になりた
いと思っていますし、お客様にもそのように見えてほしいと思っています。
私が振付けを行うにあたって一番重要なファクターは、アイデア、ムード、物語りを表現できる音楽です。
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最近インドに行っていましたが、何かを学びにいったんですか?またどんな旅でした? |
Irina Akulenkoさん: 今年の7月はまるまるインドにいました。何年も前から一つのインド舞踊のスタイルに興味を持っていてました。"Odissi"
このインド舞踊"Odissi"はオリッサという地域から来ていて、最も古いインド舞踊の一つで恐らくインド舞踊の中でも一番エレ
ガントなダンス思います。
何年も前から"Odissi"のレッスンなどを受けてをこのダンスを敬服していて、知り合いのダンサーとなぜこんなに"Odissi"にハ
マったんだろうと話の中で、このダンスでは物語りを伝える一部の要素として使われているからなのではないかという事に気づ
かされました。
インド舞踊には、両足、頭、手、目のポジションには名前がついていて、それぞれの意味があるのです。
クラシックのインド舞踊を見るのは、まだ読まれていない台本を開いていくような感覚です。そのダンスにはストーリーを伝える役割があり、感情や意味が沢山含まれています。
私のダンスもストーリーや伝える作風なので、"Odissi"との強い繋がりを感じインドへ学びにいきました。 |
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"Odissi"には素敵なダンサーがいっぱいいますが、私が特に影響されたのは、"Odissi"の舞踊団の“Nrityagram”です。
ニューヨークで何年もパフォーマンスをみていて、毎回感動しています。彼女たちを見るのは、超越的な体験です。
彼女たちはこの古代の芸術を広めるための物凄いアーティスト集団、インドのBangaloreから1時間ほどの場所に土地を持ち、日
々朝から晩までダンスのトレイニングを行い、そこに暮らしています。
本当に美しくダンスの為にあるようなダンサーの為の天
国みたいな場所です。ゲストダンサーの為のサマープログラムなどもあって、ずっと行きたいと思っていたのですが忙しすぎて
行けなかったのですが今回奇跡的に時間がとれて、ようやく行く事ができました。ここ数年私が最も影響された女性から学ぶ事
が今回の目的でした。
そして、素晴らしい体験でした。
毎日朝6時から始まり、5,6時間は最低でもダンスの練習を行い、時間が空くと
"Nrityagram" 舞踊団のプロフェッショナルレッスンを見に行ってました。
でも一番良いのは直接指導者から学ぶ事ができて、リハーサルを見れて、どう向き合って完成させていくかを見れる事です。
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インドに行って、学んだ事や感じた事を教えて頂けますか。
また何か自分のダンスに対する考えやダンス自体に変化はありましたか。
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Irina Akulenkoさん:
インドに行っていろんな事を学びましたが、一番経験して強く思うのは畏怖です。またインドから戻ってから1ヵ月以上経ちま
すが、まだ向こう経験を纏めている段階です。言葉ではまだ表せない気がするのですが、私は以前から刺激を受けていて、行っ
た後の今も刺激を受け続けています。
インドに行って自分自身のダンスの引き出しも増えて成長できたと思います。
またこの2年間くらいOdissiとベリーダンスのフュージョンを創ってきましたが、この特科したフュージョンをもっと深く深く掘っていこうと思います。もう既に何個かプロジェクトを始めています。
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ダンサーとして将来にやりたい事やゴールなどはありますか? |
Irina Akulenkoさん: ダンサーとしては、今の仕事を続けて成長し進化し続ける事です。私は運が良く何個か素晴らしいダンスカンパニーと音楽事務
所と一緒に働かせてもらっていて、ソロでも沢山活動しています。
去年は、4カ月でアジアとヨーロッパ10か国の世界ツアー
をする事できました。今年もまた11月からアジアツアーでアジアに戻ります!レッスンとショーを香港、シンガポール、北京
、中国、日本行います。日本ではFIG(http://fig-tokyo.com)の美しいShihoさんにホストして頂きました。
ツアーの予定はHPからご覧いただけます。
イリーナのホームページは下記テキストか画像をクリック
www.DanceIrina.com
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長いスパンでのゴールは、自分自身のイーブニングショーです。とてもスペシャルなアイディアがあって、少しづつ過去の自分
の振付をそのショーの為に集めています。ただもっといろんな文化で行われているベリーダンスだったり様々なベリーダンスを
見たいと思っています。
また私のミッションとしてはこの素晴らしいダンスを広め、TVや劇場でも質の高いベリーダンスを見れるようにする事です。
ベリーダンスはまだ間違った捉え方をしている方も多く、テレビやショーなどでも行き過ぎたセックスアピールをするダンスの
ように扱われています。
本当のベリーダンスは、どういうダンスかを広めたいと思っています。
将来的には一つのアートとして皆に愛され、リスペクト
されるようにもっていきたいと思いいて、その広める中心のダンサーの一人として思ってもらえるようになりたいと思っていま
す。
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イリーナさんにとってベリーダンスとは? |
Irina Akulenkoさん: 私にとってベリーダンスとは、とてもスペシャルな芸術の形です。
このダンスを学びながら自分自身のことを知るようになりま
した。それを通じて自身の身体を知り、愛することを学びました。このダンスを通して、身体的な自己発見ができたのだと思い
ます。
現代のデジタル世界で私はどんどん自身の身体から離れていっています。すべてが電子機器を通して行われます。
感情を持つ本来の人間のコミュニケーションはどんどん非日常化し、電話をする代わりにメッセージをやりとりするようになり
ました。友達といる時ですら、一緒にいる人ではなくみんな携帯を見ています。
ベリーダンスは身体をかなり細部にわたって使い、とても意識を内側に向けます。目を閉じて自分の筋肉の動きを感じながら、
自身の感情とつながるようになります。
私にとってベリーダンスは、ただ美しく、長い歴史があり、技術的にもレベルの高い芸
術形式というだけでなく、それは自己表現であり、私が人間として持つ体と心へのつながりなのです。今にいたるまで、ベリー
ダンスとは私に自分の心を見つめさせ、自分自身とつながらせる唯一の芸術です。
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